anicolors

AnesRecord 利用マニュアル

マニュアル v1.0(アプリ 1.0.0 (62) 対応)/2026-10-14 更新

このマニュアルは通読用ではなく、必要な箇所を探して読むための資料です。 画面の名前から引くときは「4. 画面リファレンス」、操作の順番をたどるときは「3. 症例の流れ」、 計算が合わないときは「5. 計算のしくみ」をご覧ください。

このページの内容を Markdown 形式 でも用意しています。 生成AIに読ませて質問する場合は、そちらをお使いください。

0. このアプリについて

AnesRecord とは

AnesRecord は小動物の全身麻酔を記録する iPhone / iPad 用のアプリです。できることは大きく2つで、薬用量の計算補助と麻酔中の記録補助です。

薬剤の選択・用量の判断・製剤の確認は、使用する獣医師の裁量と責任で行います。アプリは入力された数値をそのまま計算するだけで、用量が適切かどうかは判定しません。

補足記録は端末の中だけに保存されます(→ 6章「保存される場所」)。

無料でできることと有料の機能

区分内容
無料症例の記録(バイタル・薬・CRI・区域麻酔・イベント)/終了した記録を画面で見る/薬剤ライブラリ・プロトコルの書き出しと同僚への共有/準備中・記録中の症例を別の端末へ送る
有料(買い切り)記録の持ち出し=PDF 出力/印刷(AirPrint)/PDF preview/終了した記録の書き出し(Backup & transfer)

有料の機能には鍵のアイコンが付いています。購入の手順は次のとおりです。サブスクリプションではありません(購入画面の表記は One-time purchase. No subscription.)。

  1. 鍵の付いた機能をタップする(記録の詳細画面の右上、Time scale & PDF preview の行、Backup & transfer の Case records (finished))
  2. 購入画面が開くので Unlock(価格つき)をタップし、App Store の手順で購入する
  3. Thank you の表示が出たら完了。その Apple アカウントで出力と印刷が使える

同じ Apple アカウントで購入済みの場合(端末の買い替え・2台目など)は、購入画面の Restore purchase で購入を復元します。

この文書について

通読ではなく、必要な箇所を検索して読むための文書です。画面の名前から引くときは「4. 画面リファレンス」、操作の順番をたどるときは「3. 症例の流れ」、計算が合わないときは「5. 計算のしくみ」を見てください。

コツこの文書を AI に読ませて質問することもできます。その場合は Markdown 版(AnesRecord_利用マニュアル.md)を渡すと精度が上がります。見出しをそのまま残しているので、AI の答えに出てきた節名で本文を検索できます。

麻酔記録用紙の様式について

PDF の様式は、日本獣医麻酔外科学会 麻酔・疼痛管理委員会「麻酔記録用紙 rev1(2021)」(クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際 / CC BY 4.0)を、ライセンスの条件に従って改変・使用しています。

学会の提供・監修・推奨を受けたアプリではありません。

改変した点、原典へのリンク、クレジットの全文は、アプリ内の License 画面にあります。出力した PDF のすべてのページのフッターにも同じ表示が入ります。

License 画面。アプリの版、クレジット(開発協力:田草川史彦先生/聖母坂どうぶつ病院)、麻酔記録用紙の様式についての説明、原典 JSVAS へのリンク、CC BY 4.0 のライセンス表示、改変点の一覧が縦に並んでいる。
License 画面(ホーム左上の ⓘ から開く)

1. 安全に使うために

薬用量は登録した数値のまま計算されます

投与量(ml)は、登録した用量・濃度(薬剤ライブラリ、または Case Setup の薬ごと)と、Case Setup の体重から自動計算されます。入力が違えば結果も違います。

入力間違えたときに起きること
濃度ml が実物と合わない。製剤を変えたのにライブラリが古いままの場合に起きる
用量指示と違う量が計算される
体重小数点の位置(3.5 と 35)で10倍ずれる
単位mg と µg で1000倍、/h と /min で60倍ずれる
注意アプリは用量の上限・下限を判定しません。桁が違う値を入れても、そのまま計算して表示します。

初回起動時のライブラリには、名前の末尾に (sample) の付いたサンプル薬剤が入っています。操作を試すためのもので、自院の製剤とは限りません。

他の獣医師から受け取った薬剤ライブラリ・プロトコルは、送り手の製剤・用量の前提のまま計算されます。

注意サンプルは自院の製剤に置き換えてください。薬剤の初回入力時、プロトコルを変更したとき、薬剤ライブラリ・プロトコルを受け取ったときは、必ず検算をお願いします。

記録には飼い主名・患者名が含まれます

PDF と症例ファイル(.anesrecord)には、飼い主名と患者名が含まれます。PDF はファイル名にも患者名が入ります。症例ファイルは暗号化されていない JSON です。イベントに添えた写真も、どちらにも入ります。

送り先を誤ると、これらが第三者に渡ります。送った記録をアプリから取り消すことはできません。記録を端末の外へ出す方法の一覧は → 6章「データの保存・持ち出し・共有」。

注意記録を送る前に、共有先を確認してください。記録の共有は自院の端末間に限ることをおすすめします。

2. 最初にやること

薬剤ライブラリを自院の製剤に合わせる

ホーム右上の錠剤アイコンから Drug Presets(薬剤ライブラリ)を開きます。ここに登録した薬剤が、症例ごとの選択肢とモニタ画面のボタンになります。

Drug Presets 画面。上部に Anesthesia protocols と Event presets への行、その下に DRUGS (6) として Propofol・Atropine・Cefazolin・Tramadol・Dexmedetomidine・Dopamine がそれぞれ用量・濃度・投与経路つきで並ぶ。最下部に「名前に濃度と用途を入れる」旨の注記。
Drug Presets(薬剤ライブラリ)
  1. (sample) の付いた薬剤を開き、自院の製剤の用量・濃度に直す
  2. 使わない薬剤は左にスワイプして削除する(確認が出る)。サンプルをまとめて消すときは Remove all sample drugs (件数)
  3. 足りない薬剤は右上の + で追加する
  4. 並び順は右上の矢印のアイコンで選ぶ(→ 4章「Drug Presets(薬剤ライブラリ)」)
コツ名前に濃度と用途を入れると、ボタンを見た瞬間に区別できます。例:Atropine 0.5 (premed) と Atropine 0.05 (intra-op)。同じ薬で濃度が違うものを別々に登録するときに効きます。

薬剤の登録項目

Edit Preset 画面。Propofol の Dose 1 mg/kg、Unit mg/kg、Concentration 10 mg/ml、投与経路の IV/IM/SC/CRI/Other の5択(IV が選択)、その下に TAGS (OPTIONAL) として Premed のトグル。
薬剤の登録画面(Drug Presets → 薬剤をタップ)
Drug name
薬剤名。モニタ画面のボタンにこの名前が出る。濃度と用途を入れておくと安全
Dose
1回量または速度の数値
Unit
単位。選べる単位は Route で変わる(下表)
Concentration
製剤の濃度(mg/ml)。自院の製剤に合わせる。製剤を変えたらここも直す
Route
投与経路。IV / IM / SC / CRI / Other の5択。CRI は持続投与として扱う。Other は局所麻酔薬のように IV・IM・SC・CRI のどれにも当たらない薬用で、扱いと ml の計算は IV・IM・SC と同じ1回投与。Route を変えると、その Route で選べない単位は既定の単位に戻る
Tags
任意。→「タグ」

単位は次の11種類です。Route が CRI なら速度の6種、IV・IM・SC・Other なら1回量の5種から選びます。

区分単位選べる Route
体重あたりの1回量mg/kg ・ µg/kg ・ ml/kgIV・IM・SC・Other
体表面積あたりの1回量mg/m² ・ µg/m²IV・IM・SC・Other
体重あたりの速度(CRI)mg/kg/h ・ µg/kg/h ・ mg/kg/min ・ µg/kg/min ・ ml/kg/h ・ ml/kg/minCRI
補足ml/kg と ml/kg/h・ml/kg/min は濃度を使わずに計算します(体重を掛けるだけ)。輸液をこの単位で登録すると、濃度を入れなくても流量が出ます。

タグ

薬剤には Premed / Induction / Local block / Intra-op のタグを付けられます(複数可・任意)。

補足同僚への共有でタグを使って薬剤を絞り込むこともできます(→ 6章「Backup & transfer の2つの入口」)。

プロトコル

よく使う組み合わせは プロトコルとして保存できます。プロトコルには前投与・導入・区域麻酔・術中薬・記録間隔・吸入麻酔薬が入ります。

プロトコル Demo cast の編集画面。NAME に Demo cast、PREMEDICATION に Atropine、INDUCTION に Propofol、LOCAL / NERVE BLOCK (PLAN)、INTRA-OP DRUGS (MONITORING BUTTONS) に Cefazolin と Fentanyl が並ぶ。
プロトコルの中身(Anesthesia Protocols → プロトコルをタップ)
やりたいこと操作
今の症例をプロトコルとして保存Case Setup → Save current setup as protocol
プロトコルを症例に読み込むCase Setup → Apply protocol
空のプロトコルを作るDrug Presets → Anesthesia protocols → + → New protocol
プロトコルの中身を見る・直すDrug Presets → Anesthesia protocols → プロトコル名をタップ
補足Case Setup の Protocol 節は、記録を始める前(Start Monitoring を押す前)だけ出ます。
補足プロトコルが持つのは用量だけです。ml は症例ごとの体重から計算し直されます。
注意同じ名前で保存しようとすると Overwrite “名前”? の確認が出ます。Overwrite を押したときだけ置き換わります。Anesthesia protocols の New protocol では、同じ名前は作れません。

イベント登録

モニタ画面の Event ボタンに出す選択肢を登録できます。初期値は Incision / Closure / Repositioning / Bleeding / Warming on / Fluid bolus / Surgeon change の7つです。

Event Presets 画面。Incision・Closure・Repositioning・Bleeding・Warming on・Fluid bolus・Surgeon change の7項目が縦に並ぶ。
Event Presets(Drug Presets → Event presets)
補足登録に無いイベントは、Event ボタンの Other event… からその場で名前を入れて記録できます。写真つきのイベントは Photo… から記録します(→ 4章「イベントの写真」)。

3. 症例の流れ

全体の流れ

段階操作できること
① 準備ホーム → New Anesthesia → Case Setup患者情報・薬剤・記録間隔の設定
② 記録開始Case Setup の一番下の Start Monitoring記録の開始。モニタ画面に切り替わる
③ 前投与前投与の薬のボタン(1剤ずつ)タップした薬だけ、タップした時刻で記録
④ 導入Inductionタップした時刻で記録
⑤ 挿管Intubationここが経過時間の 0 分(T0)
⑥ 麻酔中Record Vitals / 薬剤ボタン / CRI / Local block / Event / Others / Start surgeryバイタル・投薬・イベント・手術時間の記録
⑦ 抜管Extub.抜管後も経過時間は止まらない
⑧ 覚醒End → Recovery覚醒の記録・合併症・最終確認
⑨ 終了Finish & Save Record記録の確定。以後は修正できない
⑩ 閲覧・出力ホーム → Past records → 症例をタップグラフ・一覧の表示、PDF 出力・印刷
補足症例は複数を並行して記録できます。ホームの Active cases で切り替えます。

① 準備(Case Setup)

Case Setup 画面の上部。PATIENT 節に動物名 Demo、飼い主 Yamada、ID/No.、Species は Dog、品種 Toy Poodle、Age、性別の4択、Body weight 4.2 kg、ASA 1、BCS。下に「Weight drives every ml. Check kg and the decimal point.」の注記と PRE-ANESTHESIA VITALS。
Case Setup(患者情報)

体重がすべての ml を決めます。 kg の値と小数点の位置を確認してください(→ 1章)。体重が 0(未入力)のままでは Start Monitoring を押せません。

Case Setup の下部。LOCAL / NERVE BLOCK (PLAN) に Lidocaine と Bupivacaine、INTRA-OP DRUGS (MONITORING BUTTONS) に Cefazolin・Atropine・Dopamine(CRI)、RECORDING INTERVAL は 2.5 min。
Case Setup(薬剤と記録間隔)
Premedication / Induction
前投与薬と導入薬。ここでは計画として置くだけで、時刻はモニタ画面のボタンで入る(時刻の欄は記録を始めた後に出る)。前投与薬は挿管前のモニタ画面にボタンとして並ぶ
Local / Nerve block (plan)
予定している区域麻酔。実施はモニタ画面の Local block で記録する
Intra-op drugs
モニタ画面に並ぶ薬剤ボタン。登録した順に並ぶ。1剤も入れていなければ薬剤ライブラリ全体がボタンになる
Recording interval
定時アラームの間隔。1 / 2 / 2.5 / 3 / 5 / 10 / 15 分から選ぶ

Premedication・Induction・Local / Nerve block の薬を開くと、Dose・Unit・Concentration(mg/ml)・Volume を直せます。Concentration を変えると、ml は 用量 × 体重 ÷ 濃度 で計算し直されます。ml を手で直した薬はその値が保たれ、Volume edited manually の表示が出ます(Recalculate で自動計算に戻ります)。単位が ml/kg の薬には Concentration の欄は出ません。

Airway & Equipment では、気道確保の器具を ET tube(気管チューブ)か SGA (v-gel)(声門上器具)から選びます。サイズと血圧カフは自由記述です。吸入麻酔薬(Inhalant)は Isoflurane / Sevoflurane / Desflurane から選びます。

器具入力欄
ET tubeTube I.D.(内径。mm でも Fr でも可)・End cm(チューブエンドの位置=挿入長の目安 cm)
SGA (v-gel)SGA size(例:v-gel adv. C3)。End cm の欄は出ない
共通BP cuff(例:#3 / forelimb)・Bag L(リザーバーバッグの容量 L)

準備ができたら、Case Setup の一番下の Start Monitoring を押します。記録が始まり、モニタ画面に切り替わります。

補足記録を始めた後に体重・種・BSA 係数を直しても、Case Setup の前投与薬・導入薬・区域麻酔の ml は計算し直されません(用意した量・入れた量として扱うためです)。直したい薬は、その薬を開いて用量を入れ直すと計算し直されます。モニタ画面のタイトルの体重、薬剤ボタン、これから記録する投与は新しい体重に従います。記録済みの投与と、流れている CRI の ml/h は変わりません。

②〜⑤ 記録開始から挿管まで

モニタ画面。上部に経過時間 31:03 と次の記録予定、その下に Local block・Event・Lidocaine の帯、中央に経時グラフ、下に記録済みバイタルのカードとDopamine の CRI 実行中カード、Cefazolin と Atropine の薬剤ボタン、最下部に Record Vitals・Extub.・End のボタン。
モニタ画面(麻酔中)
コツ押した後のボタンは緑色になります。もう一度タップすると、Undo — mark as not given(未投与に戻す)と時刻の修正を選べます。取り消しても薬は Case Setup に残ります。薬そのものを消せるのは Case Setup の左スワイプだけです。
注意時刻の入っていない前投与薬・導入薬は「投与していない」として扱われ、PDF と記録の詳細画面に載りません。押し忘れた薬は、Recovery の Premedication & Induction の先頭に Not given: として並びます。投与していた薬は、その行をタップして時刻を入れてください。
補足グラフの Pre・Ind の縦線は、その節でいちばん早く投与した薬の時刻に合わせて動きます。取り消すと線も動き、1剤も投与していなければ線は消えます。

⑥ 麻酔中

操作内容
Record Vitalsバイタル入力を開く。前回値は薄く出るだけで入力されない(→ 4章「Record Vitals」)
薬剤ボタン(1回投与)タップで登録用量を記録。長押し → Edit name & dose… で名前・用量を変えて記録
薬剤ボタン(CRI)Route が CRI の薬(オレンジのボタン)をタップすると、その時刻から登録用量で CRI が始まり、オレンジの実行中カードが出る。用量を変えて始めるときは長押し → Edit name & dose…
CRI の実行中カードタップでメニューが開く。Change rate from now…(今からの変更)・Edit / delete…(訂正・削除)・Stop now(停止)
Local blockCase Setup に入れたブロックから選んで記録。何回でも記録できる
Event登録したイベント名から選ぶか、Other event… で名前を入れて記録。Photo… で写真つきのイベント
Others / OtherCase Setup で選ばなかった薬剤の記録(→ 4章「Others(登録外の薬剤)」)
Start surgery手術の開始・終了の記録(→ 4章「手術タイマー」)
注意CRI の流量を変えたときは Change rate from now… を使ってください。Edit / delete… は入力ミスの訂正用で、最初からその流量だったことになります。
補足CRI の実行中カードは1タップでは止まりません。止めるときはメニューの Stop now(赤字)を選びます。

⑦⑧⑨ 抜管・覚醒・終了

Recovery 画面。TIMES に Extubation と Head up、INTUBATION に Difficult intubation のトグル、PREMEDICATION & INDUCTION に Atropine と Propofol、RECOVERY QUALITY の4択(Good が選択)、POST-ANESTHESIA VITALS の入力欄。
Recovery 画面
補足終了時刻は既定では Finish を押した時刻です。押し忘れたときは Recovery の End time で実際の終了時刻を指定できます。

⑩ 記録を見る・出す

Past Case (Yamada) の詳細画面。SUMMARY に患者・飼い主・術式・体重・ASA・Monitoring start・Premed・Induction・Regional block 1 と 2・Intubation (T0)・Extubation・Anesthetic time 46 min・Total time 50 min・Recovery Good が並ぶ。
記録の詳細画面

ホーム → Past records → 症例をタップで、記録の詳細画面を開きます。経時グラフ、投薬とイベント(写真を含む)、合併症、メモを確認でき、PDF の出力と印刷もここから行います(→ 7章)。

4. 画面リファレンス

画面の操作の約束

画面は大きく3つの型に分かれます。どの型かで、入力が確定するタイミングが違います。

型出口確定のしかた
A型(即時保存)左上の <入力した時点で保存
B型(保存で確定)Cancel と SaveSave を押すまで確定しない。Cancel で破棄
C型(一覧・閲覧)< または Done表示するだけ

ホーム

ホーム画面。上部に AnesRecord のタイトル、New Anesthesia ボタン、ACTIVE CASES (1) に Demo (Yamada) が Monitoring 表示、PAST RECORDS (1) に Past Case (Yamada)、下に Backup & transfer。
ホーム画面
New Anesthesia
新しい症例を作り、Case Setup を開く
Active cases
記録中・準備中の症例。タップで再開。左スワイプ → Discard で破棄。長押しで Send to another device…(他の端末へ送る)/ Discard…
Send all preparing cases (件数)…
Active cases の最後の行。準備中の症例をまとめて送る(→ 6章「症例を別の端末へ移す(1件・まとめて)」)
Past records
終了した記録。タップで記録の詳細画面。左スワイプ → Delete で削除(確認あり・元に戻せない・写真も消える)
Backup & transfer
書き出しと読み込み(→ 6章)
左上の ⓘ
License 画面
左上の ?
この Web マニュアル
右上の錠剤アイコン
Drug Presets(薬剤ライブラリ)

Case Setup

症例の設定画面です。A型(即時保存) で、入力した時点で保存されます。出口は左上の < と、一番下の Start Monitoring(記録を始めてモニタ画面へ)です。記録中はモニタ画面上部の Case Setup から開き、出口は左上の < だけになります。

節内容
Patient動物名・飼い主・ID・種(Dog / Cat / Other)・品種・年齢・性別(♂ ♂C ♀ ♀S)・体重・ASA・BCS(/ 9 の9段階)
Pre-anesthesia vitals麻酔前の体温・心拍・呼吸数・血圧・異常所見
Procedure & Staff術式・診断名・術者・助手・器械出し・麻酔担当
Airway & Equipment器具(ET tube / SGA (v-gel))・Tube I.D. または SGA size・End cm(ET tube のみ)・BP cuff・Bag L・Inhalant・Record ventilation (TV / MV)
ProtocolApply protocol(読み込み)/Save current setup as protocol(保存)。記録を始める前だけ出る
Premedication / Induction前投与薬・導入薬。薬ごとに用量・濃度・ml を直せる
Local / Nerve block (plan)予定している区域麻酔。薬ごとに部位・用量・濃度・ml を直せる
Intra-op drugsモニタ画面に並ぶ薬剤ボタン
Recording interval定時アラームの間隔
Start Monitoring記録の開始。記録を始める前だけ出る。体重 0 では押せない
補足右上の共有ボタン(Send case to another device)で、準備中・記録中の症例を別の端末へ送れます(→ 6章)。
補足Species で Other を選ぶと、体表面積の係数(BSA coefficient)を自分で指定できます。

モニタ画面

麻酔中の記録画面です。上から次の順に並びます。

上部のツールバー
左に Home(ホームへ。記録は続く)、右に Case Setup と Records(記録の一覧)
タイトル
1段目に動物名と飼い主名、2段目に体重。体重が未入力なら — kg(その状態では ml が計算されない)。Case Setup で体重を直すとすぐ反映される
経過時間
T0(挿管)からの経過。次の記録予定の時刻と記録間隔、T0 の時刻も出る。T0 の横の鉛筆のアイコンで Edit Times 画面が開く。挿管前はここに時計とボタンが並ぶ(→「挿管前のボタン(前投与・導入・挿管)」)
Start surgery
経過時間の下の小さいボタン(→「手術タイマー」)
帯
Local block・Event のボタンと、実施した区域麻酔・記録したイベント。タップで直せる
グラフ
バイタルの経時変化。縦線は Pre(前投与)・Ind(導入)・Blk(区域麻酔)・T0(挿管)・Op(手術開始)・Op end(手術終了)・Ext(抜管)。横軸の 0 が挿管。凡例の右端で表示幅を切り替える(→「グラフの表示幅」)
記録カード
記録済みのバイタル・前投与・導入・単回投与。タップで編集
CRI の実行中カード
流している CRI。タップでメニュー(→ 3章「⑥ 麻酔中」)
薬剤ボタン
Case Setup の Intra-op drugs(1剤も無ければ薬剤ライブラリ全体)。タップで登録用量を記録(CRI の薬は開始)、長押し → Edit name & dose…。列の右端に Others または Other(→「Others(登録外の薬剤)」)
Record Vitals
バイタル入力を開く
Extub.
抜管時刻を記録(挿管後だけ出る)。記録済みの Extub. をタップすると Edit Times 画面
End
Recovery 画面を開く
補足記録予定の時刻が来ると、経過時間と Record Vitals のボタンが赤くなります。記録予定の時刻の半インターバル前より後にバイタルを1件でも記録すれば、遅れて記録した場合でも赤い表示は消えます。記録しないまま次の記録予定を迎えたときは、赤いままです。
補足モニタ画面を開いている間は、端末の画面が自動でロックされません。画面がロックされると定時アラームが鳴らないためです。

挿管前のボタン(前投与・導入・挿管)

挿管前のモニタ画面の上部には、上から次の3段が並びます。

挿管前のモニタ画面。上から時計、前投与薬のボタン(投与済みの緑のボタンには時刻、未投与の青のボタン)、Induction と Intubation の横並びのボタン。
挿管前のモニタ画面(前投与薬ごとのボタンと Induction/Intubation)
段中身
1段目時計
2段目前投与の薬のボタン。Case Setup の Premedication の薬が、Case Setup の順に横に並ぶ(多いときは横にスクロール)。前投与薬が1剤も無い症例では Premed ボタンが1つ
3段目Induction と Intubation(= T 0:00)
ボタン未記録のとき(青)記録済みのとき(緑)
前投与の薬タップでその薬だけに今の時刻タップで Undo — mark as not given / Edit time / dose…(時刻・用量の修正画面)
Premed(前投与薬が無い症例のみ)タップで前投与の時刻タップで Undo — mark as not given / Edit time…(Edit Times 画面が開く)
Inductionタップで、時刻の無い導入薬すべてに今の時刻タップで Undo — mark as not given(導入薬すべての時刻を消す)/ Edit time…。(導入薬があれば先頭の導入薬の修正画面、無ければ Edit Times 画面)
Intubationタップで T0 が入り、経過時間の表示に切り替わる—
補足ボタンの位置は Case Setup の順で固定です。時刻・用量の修正画面には削除のボタンはありません(取り消しの扱い → 3章「②〜⑤ 記録開始から挿管まで」)。
補足挿管後はこの段は消えます。挿管後に前投与薬・導入薬を足すときは、Records の Add Premed / Induction drug から追加します(追加した時刻が入ります)。

手術タイマー

挿管後、経過時間の下に小さい紫のボタンが出ます。麻酔の経過とは別に、手術の開始・終了を記録します。

状態表示タップしたとき
開始前Start surgery手術開始の時刻が入る
手術中Surgery 経過 · tap to stop手術終了の時刻が入る
終了後Surgery 時間 開始–終了(緑)Edit Times 画面が開く

グラフの表示幅

モニタ画面と記録の詳細画面の経時グラフは、表示する時間の幅を切り替えられます(挿管前が長く、挿管後がつぶれて見えるときなど)。

補足画面の表示だけの設定です。PDF のグラフの時間軸(→「PDF preview」)には影響しません。

Record Vitals

Record Vitals 画面。HR・SAP・DAP・MAP(auto if blank)・RR・呼吸様式の Spont/Mech・SpO₂・EtCO₂・Temp・Iso の入力欄が並び、それぞれ右に前回値が薄く表示されている。下に MEMO の自由入力欄。
Record Vitals(バイタル入力)

B型 の画面です。Save で保存し、Cancel で破棄します。前回値は各欄に prev: 値 と薄く出るだけで、入力されません。触らなかった欄は空欄(測っていない)として保存されます。

項目単位・アプリの動き
HR/min
SAP / DAP / MAPmmHg。MAP を空欄にすると SAP と DAP から自動計算(式 → 5章「MAP の自動計算」)
RR/min
Spont / Mech自発呼吸 / 調節呼吸の切り替え
SpO₂%
EtCO₂mmHg
Temp℃。3桁を小数点なしで打つと小数点が入る(378 → 37.8)
吸入麻酔薬(%)欄の名前は Case Setup の Inhalant の略(Iso / Sevo / Des / Halo、それ以外は先頭5文字、未選択なら Agent)。2桁を小数点なしで打つと小数点が入る(15 → 1.5)
TV / MVml / L/min。Case Setup で Record ventilation (TV / MV) をオンにしたときだけ出る
Memoこの記録に添える自由記述
補足空欄は「測っていない」として扱われ、グラフにも PDF にも点が出ません。0 とは区別されます。

Others(登録外の薬剤)

Others シート。上部に NEW DRUG として Drug name・Dose・Unit・投与経路の IV/IM/SC/CRI/Other・Concentration の入力欄があり、下に Give ボタン。
Others(その場で薬剤を作って記録する)

Case Setup で選ばなかった薬剤を記録します。ボタンは薬剤ボタンの列の右端にあり、症例によって名前が変わります。

症例ボタン動き
Intra-op drugs を入れた症例Others (library / free)薬剤ライブラリ全体から選ぶか、Other drug…(free entry)で自由入力
Intra-op drugs が空の症例Other自由入力に直行(ライブラリ全体は既に薬剤ボタンに並んでいる)

自由入力では、名前・用量・単位・経路・濃度をその場で入れて記録します。

Local block

Local block シート。REGIONAL BLOCK として Lidocaine、部位 Ovarian pedicle、2 mg/kg、0.42 ml、Time 13:10 が並び、下に Delete this block。
Local block(区域麻酔の記録)

Case Setup の Local / Nerve block (plan) に入れたブロックから、実施したものを選んで記録します。挿管の前後を問わず、何回でも記録できます。計画に無いブロックは Other block… でその場で入力できます。

Event

Event シート。EVENT に Incision、その下にタグのような選択肢(Incision・Closure・Repositioning・Bleeding)、Detail (optional)、Time 13:18、下に Delete this event。
Event(イベントの記録)

登録したイベント名から選ぶか、Other event… で名前を入れて記録します。時刻はボタンを押した瞬間で決まり、名前・詳細(Detail)・時刻・写真は後から直せます。B型 で、Save を押すまで変更は確定しません。Delete this event でイベントを取り消せます(添えた写真も消えます)。

イベントの写真

イベントに写真(不整脈のモニタ画面など)を添えて、その時刻と結び付けて残せます。

やりたいこと操作
撮影してイベントを作るEvent ボタン → Photo…。押した時刻でイベント(名前は仮に Photo)ができ、続けてカメラが開く。撮った後のシートで名前(例:VPC)や詳細を直して Save
記録済みのイベントに写真を足す帯のイベント、または Records のイベントの行をタップ → Photo 節の Take photo(撮影)または Choose from Photos(写真アプリから選ぶ)
写真を外すEvent シートの写真の右上の × → Save
写真を大きく見る写真をタップ。ピンチで拡大、ダブルタップで拡大・戻す
注意写真には患者や院内の様子が写り込むことがあります。写真も PDF と症例ファイルに入って端末の外へ出ます。

Edit Times

前投与・導入・挿管・抜管・手術・区域麻酔の時刻をまとめて直す画面です。次の場所から開きます。

節中身
Phase timesPremed・Induction・Intubation (T0)・Extubation
SurgerySurgery start・Surgery end
Local / Nerve block実施した区域麻酔(1件ずつ)。時刻の変更と、左スワイプでの取り消し
補足--:-- をタップして時刻を選ぶ操作は、Recovery の Times 節や前投与薬・導入薬の修正画面の時刻欄でも同じです。

Records(記録の一覧)

Records シート。「Records can be corrected until you finish and save this case.」の注記、All/Vitals/Drugs/Events の絞り込み、ADD に Add Premed / Induction drug の2つ、TIMELINE (24) にバイタルと投薬が時刻つきで並ぶ。
Records(記録の一覧・修正)

記録中の症例のすべての記録を一覧し、修正できる画面です。モニタ画面の右上の Records から開きます。

注意修正できるのは Finish & Save Record を押すまでです。

Recovery

節内容
Times抜管時刻・ヘッドアップ時刻・手術開始(Surgery start)・手術終了(Surgery end)・麻酔時間(挿管〜抜管)
Intubation挿管困難だったかどうか
Premedication & Induction前投与薬・導入薬の確認と、導入薬の残量(Remaining ml=用意した量のうち使わずに残った量)の入力。時刻の無い薬があると先頭に Not given: 薬名 — not printed on the PDF.
Recovery qualityGood / Excited / Paddling / Delayed
Post-anesthesia vitals麻酔後の体温・心拍・呼吸数・血圧
Complications合併症。5分間以上持続した場合に記入(15項目)
MemoPDF のメモ欄の先頭に印刷
Final checkPDF で空欄になる項目の一覧。その行に直接入力できる
End time終了時刻(→ 3章「⑦⑧⑨ 抜管・覚醒・終了」)

Final check に出る項目と、入力できる場所は次のとおりです。

項目入力
Tube I.D.(SGA の症例では SGA size)/ Procedure / Surgeon / Anesthetist行の右端に直接入力。Case Setup と同じ値になる
Remaining ml(導入薬の残量)行の右端に直接入力
Extubation time行の右端の Now、または時刻ピッカー
Post-anesthesia vitals一覧のみ。すぐ上の節で入力
補足空欄のままでも Finish できます。空欄が正しい項目もあるため、警告や強制はしません。Finish すると流れている CRI は終了時刻で自動的に止まります。

記録の詳細画面(Past records)

節内容
Summary患者情報と各時刻(手術を記録した症例は Surgery の開始–終了と分数)・麻酔時間・総時間・覚醒の質
Trend経時グラフ。表示幅を切り替えられる(→「グラフの表示幅」)
Time scale & PDF preview時間軸の設定と PDF のプレビュー
Premedication & Induction / Intra-op drugs / Events投薬とイベントの一覧。前投与薬・導入薬は投与した(時刻のある)ものだけ。写真のあるイベントは行の下に写真(タップで拡大)
Vitals記録したバイタルの一覧
Complications / Memo合併症とメモ

右上から Share PDF と Print (AirPrint) を実行します。

注意終了した記録は修正できません。削除はホームの Past records の左スワイプで行います(→「ホーム」)。

PDF preview

PDF preview 画面。上に Auto time scale のトグル(オン)、0.5 / 1 / 2.5 / 5 / 10 のセグメント(5 が選択)、Connect points with lines のトグル、下に出来上がりのグラフページの PDF が表示されている。
PDF preview(時間軸を見ながら調節する)

出来上がりの PDF を見ながら、グラフの時間軸を調節する画面です。設定を変えるたびに PDF が作り直されます。

Auto time scale
記録の長さから刻みを自動で選ぶ。選ばれた刻みはセグメントで光る
Scale
1列あたりの分。0.5 / 1 / 2.5 / 5 / 10 から選ぶ。押すと Auto が切れる
Connect points with lines
点を線で結ぶかどうか
補足グラフは1ページ24列です。1列 2.5 分なら1ページ60分になります。収まらない場合はページが足されます。
注意グラフのページは12ページまでです。それを超える長さの記録は、途中から後がグラフに印刷されません。その場合は記録の詳細画面と PDF preview に The graph needs … pages but is capped at 12. の注意が出て、PDF のグラフの最終ページにも同じ趣旨の警告が印刷されます。1列あたりの分を大きくすると、全体が収まります。

Drug Presets(薬剤ライブラリ)

登録のしかたは → 2章「最初にやること」。

右上の矢印のアイコンで、一覧の並び順を3つから選べます。選んだ並び順はアプリを閉じても保たれます。

選択肢並び方
Custom order自分で並べた順。長押しして上下にドラッグで並べ替える
Name (A → Z)名前の昇順
Name (Z → A)名前の降順

Anesthesia Protocols

Anesthesia Protocols 画面。Demo cast(4 drugs・5 min・Isoflurane)が1件並び、下に「Create with “+”, or save a real case from Case Setup.」の注記。
Anesthesia Protocols(プロトコルの一覧)

→ 2章「プロトコル」。

Event Presets

→ 2章「イベント登録」。

Backup & transfer

→ 6章「データの保存・持ち出し・共有」。

License

アプリの版・クレジット・麻酔記録用紙の様式についての説明・改変点を表示します。ホーム左上の ⓘ から開きます(→ 0章「麻酔記録用紙の様式について」)。

5. 計算のしくみ

投与量(ml)の計算

単位の種類によって式が変わります。

単位式
mg/kg ・ µg/kg用量(mg) × 体重(kg) ÷ 濃度(mg/ml)
ml/kg用量 × 体重(kg) ※濃度は使わない
mg/m² ・ µg/m²用量(mg) × 体表面積(m²) ÷ 濃度(mg/ml)
補足µg の単位は内部で mg に直してから計算します(÷1000)。
補足濃度は、薬剤ライブラリのほか、Case Setup の前投与・導入・区域麻酔の薬ごとにも持てます。症例側で濃度を直した場合は、その症例の濃度で計算されます(ライブラリの登録は変わりません)。
注意体重が 0 以下のとき、濃度が 0 のときは計算できないので、ml は表示されません(0.00 ml とは表示しません)。
補足自動計算した ml は小数2桁で表示します。0.1 ml 未満だけ小数3桁になります(例:アチパメゾール 10 µg/kg × 5.5 kg ÷ 5 mg/ml = 0.011 ml)。桁の設定はなく、画面・PDF・記録のどこでも同じ桁です。手で入力した Volume は、入力したとおりに印字されます。

CRI の流量(ml/h)の計算

単位式
mg/kg/h ・ µg/kg/h用量(mg) × 体重(kg) ÷ 濃度(mg/ml)
mg/kg/min ・ µg/kg/min用量(mg) × 60 × 体重(kg) ÷ 濃度(mg/ml)
ml/kg/h用量 × 体重(kg) ※濃度は使わない
ml/kg/min用量 × 体重(kg) × 60 ※濃度は使わない

/min の単位は 60 倍して ml/h に揃えて表示します。

Change rate from now… で用量を変えると、新しい流量は 前の ml/h × 新しい用量 ÷ 前の用量 で計算されます。Pump rate は手で直すこともでき、その場合は Pump rate edited manually と表示されて、手で入れた値が使われます。

体表面積(BSA)

体表面積は次の式で求めます。

項目値
式係数 × 体重(kg) の 2/3 乗
犬の係数0.101
猫の係数0.100
Other既定は犬と同じ 0.101。Case Setup の BSA coefficient で変更できる

MAP の自動計算

Record Vitals で MAP を空欄にすると、SAP と DAP から次の式で計算します。

項目内容
式(SAP + 2 × DAP) ÷ 3

MAP を自分で入力した場合は、その値がそのまま使われます。

時間の定義

時間定義画面の名前PDF の名前
麻酔時間挿管(T0)から抜管までAnesthetic time挿管〜抜管
総時間挿管(T0)から終了時刻まで。挿管の記録が無いときは記録開始(Start Monitoring)からTotal time総麻酔時間
手術時間手術開始から手術終了までSurgery手術時間

記録間隔とグラフの時間軸

設定選択肢効くところ
記録間隔(Case Setup)1 / 2 / 2.5 / 3 / 5 / 10 / 15 分定時アラームの間隔
グラフの時間軸(PDF preview)1列 0.5 / 1 / 2.5 / 5 / 10 分PDF のグラフの横軸。1ページ24列
グラフの表示幅(モニタ画面・記録の詳細画面)All / 15 / 30 / 60 / 120 分画面のグラフの表示だけ
補足この3つは別の設定です。記録間隔を変えてもグラフの目盛は変わらず、画面のグラフの表示幅を変えても PDF は変わりません。

6. データの保存・持ち出し・共有

保存される場所

記録はすべて端末の中に保存されます。サーバーはなく、開発者が記録を見ることもできません。記録が端末の外へ出るのは、利用者自身が PDF や症例ファイルを共有したときだけです。

Backup & transfer の2つの入口

Backup & transfer の My other device 側。EXPORT に Drug library, event presets, protocols とCase records (finished) のトグル、Export… ボタン、下に IMPORT の Import from file…。
My other device(自分の端末へ移す)
Backup & transfer の Share with a colleague 側。「Library only. Case records are never included.」の注記があり、Drug library・Event presets のトグルと PROTOCOLS TO SHARE の一覧。
Share with a colleague(同僚に共有する)
入口含められるもの用途
My other device薬剤ライブラリ・イベント登録・プロトコル・終了した記録(写真を含む)自分の iPhone と iPad の間で移す
Share with a colleague薬剤ライブラリ・イベント登録・プロトコルのみ。記録と写真は含まれない(記録を選ぶ画面自体が無い)他の獣医師に設定を渡す
注意My other device で Case records (finished) をオンにすると、飼い主名を含む記録と、その記録のイベントに添えた写真がファイルに入ります。送り先に注意してください。

Share with a colleague の選び方は次のとおりです。

症例を別の端末へ移す(1件・まとめて)

症例の状態操作
準備中・記録中(1件)Case Setup 右上の共有ボタン → AirDrop。または、ホームの Active cases を長押し → Send to another device…
準備中の症例をまとめてホームの Active cases の最後の行 Send all preparing cases (件数)… → AirDrop
終了済みBackup & transfer → My other device → Case records (finished) をオン → Export… → AirDrop

Send all preparing cases は、記録を始めていない症例(準備中)が2件以上あるときだけ出ます。準備中の症例をすべて1つのファイルにまとめて送り、記録中(Monitoring)の症例は入りません。

受け取った側でファイルをタップすると取り込みの確認が出て、準備中・記録中の症例は Active cases に、終了した記録は Past records に入ります。どの方法でも、症例のイベントに添えた写真は一緒に入ります。

注意記録中の症例を移した後は、元の端末の症例を破棄してください(Active cases を長押し → Discard…)。2台で同じ症例を並行して記録すると、記録が2つに割れます。

受け取ったものは追加され、同じ名前は飛ばされます

補足一覧には症例ごとに、両方の状態(準備中・記録中・終了)・体重・バイタルの件数・薬の件数が並びます。2件以上あるときは Replace all / Keep all mine でまとめて選べます。
注意この端末で記録中の症例は置き換えられません(一覧に鍵印で出て、ファイル側は飛ばされます)。逆に、ファイル側が記録中でこの端末側が準備中なら置き換えられます。その場合は2台で同じ症例が記録中になるので、送った側の症例を破棄してください。
注意受け取った薬剤ライブラリ・プロトコルは、自院の製剤・用量に合わせて見直してから使ってください(→ 1章「薬用量は登録した数値のまま計算されます」)。

7. PDF出力と印刷

出力のしかた

  1. ホーム → Past records → 症例をタップ
  2. 必要なら Time scale & PDF preview でグラフの時間軸を調節
  3. 右上(またはプレビュー画面)から Share PDF または Print (AirPrint)
補足ファイル名は AnesRecord_日時_患者名.pdf の形になります(患者名が入ります)。

PDF の構成

ページ内容
1ページ目症例情報/事前確認事項/前投与・導入/局所麻酔/維持/その他の薬物投与/麻酔中の出来事(ある場合)/経過/合併症/手書き追記欄
2ページ目以降経時グラフ。1ページ24列。長い症例はページが自動で足される(最大12ページ)
最終ページ(写真がある場合)イベントに添えた写真。1ページ6枚。7枚以上ならページが足される

すべてのページのフッターに、麻酔記録用紙のライセンス表示が入ります。

1ページ目の主な欄

欄出るもの
症例情報ASA と BCS は別の行。BCS は 5/9 のように分母を添える(入力に / を含むときはそのまま)。未入力なら空欄
症例情報(気道・カフ)ET tube の症例は「気管チューブ I.D./Fr」、SGA の症例は「声門上器具 SGA」の見出しでサイズ。SGA の症例ではチューブエンド cm は空欄。血圧カフは入力した文字のまま
前投与および導入時刻の入っている(投与した)薬だけ
局所麻酔/神経ブロック実施を記録したブロックがあればそれ、無ければ Case Setup の計画
その他の薬物投与麻酔中の追加投薬。最大10行で、入りきらない分は ※ 他 n 件はグラフページのイベント欄に記載 と注記
麻酔中の出来事イベントとバイタルに添えたメモを、時刻・T0 からの分・出来事・詳細の4列で出す。写真のあるイベントは、詳細の頭に [写真1] のように最終ページの写真番号。イベントもメモも無い記録では出ない。紙面に入りきらない分は、グラフページのイベント欄に時刻つきで出る
経過総麻酔時間・挿管〜抜管・手術時間・抜管時間・ヘッドアップ(定義 → 5章「時間の定義」)

グラフページのイベント欄

グラフの下のイベント欄には、上から次の順に段を分けて並べます。ブロックの切れ目には薄い罫線が入ります。

ブロック中身
イベント◆13:18 Incision のように時刻を前に付けたイベント。バイタルに添えたメモは ・時刻 メモ
単回投与術中のボーラスに加えて、前投与・導入・区域麻酔(▲前投与 薬名 用量 経路・▲導入 …・▲局所麻酔 手技名 部位 用量)。前投与・導入は時刻の入っている薬だけ
CRI薬ごとに段を固定した帯。同じ薬は必ず同じ段

写真のページ

イベントに写真を添えた記録では、グラフのページの後に「麻酔中の出来事の写真」のページが付きます。写真が1枚も無い記録には付きません。

原典からの改変点

原典(JSVAS 麻酔記録用紙 rev1)からの主な改変は次のとおりです。全文はアプリ内の License 画面にあります。

補足合併症チェックリストの項目名・数値の閾値・「5分間以上持続した場合に記入」の文言は、原典のまま変えていません。

PDF の出力・印刷・プレビューは有料です

PDF 出力・印刷・PDF preview・終了した記録の書き出しは買い切りの有料機能です。無料の範囲と購入・復元の手順は → 0章「無料でできることと有料の機能」。

8. 困ったとき

記録・動作

麻酔中にアプリが落ちた
記録は自動保存されています。アプリを開き直して、Active cases の症例をタップすると再開できます。
アラームが鳴らない
定時アラームは、開いているモニタ画面の症例だけ、挿管(T0)の後に鳴ります。画面ロック中・他アプリ表示中は鳴りません。並行して記録している別の症例の分も鳴りません。
Start Monitoring が押せない
体重が 0(未入力)です。Case Setup の Body weight を入れると押せます。
Finish の後に記録を直したい
終了した記録は修正できません。修正できるのは Finish & Save Record を押すまでです。
終了時刻が実際と違う
Recovery の End time で実際の時刻を指定します(→ 3章「⑦⑧⑨ 抜管・覚醒・終了」)。
Premed ボタンが無い
前投与薬を入れた症例では、代わりに薬ごとのボタンが並びます(→ 4章「挿管前のボタン(前投与・導入・挿管)」)。
前投与薬・導入薬が PDF に載っていない
時刻の入っていない薬は PDF に載りません(→ 3章「②〜⑤ 記録開始から挿管まで」)。Finish の前なら Recovery で時刻を入れられます。Finish の後は直せません。
前投与・導入のボタンを押し間違えた
緑になったボタンをもう一度タップ → Undo — mark as not given で未投与に戻ります。
CRI を誤って止めた
Records でその CRI の行を開き、Times 節の Stopped を切って Save すると、流れている状態に戻ります。
手術の開始・終了を押し忘れた・押し間違えた
手術タイマーを長押し → Edit times… の Surgery 節、または Recovery の Times 節で直せます。
グラフの挿管後がつぶれて見える
グラフの表示幅を 15 / 30 / 60 / 120 min に切り替えるか、ピンチします(→ 4章「グラフの表示幅」)。
Event のメニューに Photo… が無い
表示の条件は → 4章「イベントの写真」。記録済みのイベントを開くと Take photo / Choose from Photos で写真を足せます。

計算・数値

ml が出ない
体重または濃度が 0 のときは計算できないため、ml を表示しません。Case Setup の体重と、薬剤の濃度を確認します。
ml が実物と合わない
薬剤ライブラリ(または Case Setup の薬)の濃度が自院の製剤と合っているかを確認します(→ 1章)。
体重を直したのに Case Setup の薬の ml が変わらない
記録を始めた後は、計画の薬の ml は計算し直されません(→ 3章「① 準備(Case Setup)」)。
投与量が10倍・1000倍ずれている
体重の小数点と、単位の mg と µg を確認します(→ 1章)。
CRI の流量が60倍ずれている
単位の /h と /min を確認します。
体温を小数点なしで入れたい
3桁で打つと小数点が自動で入ります(378 → 37.8)。吸入麻酔薬の%は2桁で入ります(15 → 1.5)。

持ち出し・共有

準備中・記録中の症例を別の端末へ移したい(自院内)
Case Setup 右上の共有ボタン → AirDrop。受け取った側でファイルをタップすると Active cases に入ります。
当日の準備中の症例をまとめて移したい(自院内)
ホームの Send all preparing cases (件数)… を使います(→ 6章「症例を別の端末へ移す(1件・まとめて)」)。記録中の症例は入らないので、1件ずつ長押し → Send to another device… で送ります。
終了した症例を別の端末へ移したい(自院内)
ホーム → Backup & transfer → My other device → Case records (finished) をオンにして Export… → AirDrop。受け取った側でファイルをタップすると Past records に追加されます。
薬剤ライブラリ・プロトコルを受け取った
ファイルをタップすると取り込みの確認が出て追加されます。登録済みのものは残り、同じ名前のものは飛ばされます。
2台で同じ症例が動いている
移した後に元の端末の症例を破棄してください(Active cases を長押し → Discard…)。
受け取った症例の写真が出ない
届いていない写真は欠けた印で表示され、PDF には載りません。送り側で症例をもう一度書き出して送ると届きます。

9. 用語集

画面・ボタン・表示の名前

Active cases
記録中・準備中の症例の一覧(ホーム)
Anesthetic time
挿管から抜管までの時間
Apply protocol
保存したプロトコルを症例に読み込む
Backup & transfer
書き出しと読み込みの画面
Case Setup
症例の設定画面
Change rate from now…
CRI の流量を今から変更する(前後の区間が両方残る。PDF では1本の帯につながる)
Custom order / Name (A → Z) / Name (Z → A)
薬剤ライブラリの並び順(Drug Presets 右上)
Drug Presets
薬剤ライブラリ
Edit / delete…
CRI の入力ミスの訂正・削除(最初から書き換わる)
Edit time / dose… / Edit time…
記録済みの前投与・導入のボタンから、時刻(と用量)を直す
Edit Times
前投与・導入・挿管・抜管・手術・区域麻酔の時刻をまとめて直す画面
End
Recovery 画面を開くボタン。経過時間は止まらない
End time
記録の終了時刻。既定は Finish を押した時刻
Event
任意のイベントの記録
Extub.
抜管の記録
Final check
PDF で空欄になる項目の一覧(Recovery)
Finish & Save Record
記録の確定。以後は修正できない
Induction
導入。押した時刻が、時刻の無い導入薬すべてに入る
Intra-op drugs
モニタ画面に並ぶ薬剤ボタン
Intubation
挿管。押した時刻が T0(経過時間の 0 分)
Local block
区域麻酔の記録
My other device
自分の端末へ移す(記録を含められる)
Not given
時刻の入っていない前投与薬・導入薬(Recovery に表示)。PDF に載らない
Others / Other
登録外の薬剤の記録
Past records
終了した記録の一覧(ホーム)
Photo…
Event ボタンのメニュー。押した時刻でイベントを作り、カメラを開く
Premed
前投与。Case Setup に前投与薬が無い症例だけに出るボタン。押した時刻が前投与の時刻になる
Protocol
薬剤と設定の組み合わせの保存版
Records
記録中の症例の記録一覧・修正画面
Recovery
覚醒の記録画面
Restore purchase
購入済みの機能を復元する(購入画面)
SGA (v-gel)
声門上器具。Case Setup の Airway で ET tube(気管チューブ)と選び分ける
Send all preparing cases
準備中の症例をまとめて1ファイルで送る(ホーム)
Share with a colleague
同僚に共有する(記録は含まれない)
Start Monitoring
記録を始める(Case Setup の一番下)
Start surgery
手術タイマー。タップで手術開始、もう一度タップで手術終了
Stop now
CRI を止める(CRI の実行中カードのメニュー内)
T0
経過時間の 0 分。挿管の時刻
Total time
T0(無ければ記録開始)から終了時刻までの時間
Undo — mark as not given
記録済みの前投与・導入を未投与に戻す
Unlock
有料機能を購入する(購入画面)

記録項目の略号

HR
心拍数(/min)
SAP / DAP / MAP
収縮期血圧 / 拡張期血圧 / 平均血圧(mmHg)
RR
呼吸数(/min)
Spont / Mech
自発呼吸 / 調節呼吸
SpO₂
経皮的動脈血酸素飽和度(%)
EtCO₂
呼気終末二酸化炭素分圧(mmHg)
TV / MV
1回換気量(ml)/ 分時換気量(L/min)
BSA
体表面積(m²)
CRI
持続静脈内投与
ASA
米国麻酔科学会の全身状態分類
BCS
ボディコンディションスコア(9段階。PDF では 5/9 の形)
Op / Op end
グラフの縦線。手術開始 / 手術終了
Pre / Ind / Blk / Ext
グラフの縦線。前投与 / 導入 / 区域麻酔 / 抜管

合併症の項目(15項目)

Recovery の Complications に並ぶ項目です。5分間以上持続した場合に記入します。項目名と閾値は麻酔記録用紙の原典のままです。

画面表示(英語)原典の表記
Apnea無呼吸
Resp. depression (<4/min)呼吸抑制(<4 回/分)
Laryngeal reflex喉頭反射
Vomiting嘔吐
Seizureけいれん
Hypotension (MAP<60/SAP<80)低血圧(MAP<60 / SAP<80 mmHg)
Tachycardia (>180 bpm)頻脈(>180 bpm)
Bradycardia (<50 bpm)徐脈(<50 bpm)
Arrhythmia不整脈(分類: )
Hypoxemia (SpO₂<90%)低酸素血症(SpO₂ <90%)
Tachypnea (>50/min)呼吸促迫(>50 回/分)
Hypocapnia (EtCO₂<20)低炭酸血症(EtCO₂ <20 mmHg)
Hypercapnia (EtCO₂>60)高炭酸血症(EtCO₂ >60 mmHg)
Hypothermia (<35°C)低体温(<35℃)
Hyperthermia (>40°C)高体温(>40℃)

AnesRecord は計算補助と記録補助のためのアプリです(責任の所在は → 0章「AnesRecord とは」)。用量の上限・下限は判定しません。薬剤ライブラリの内容は利用者が登録するもので、その正しさは利用者が確かめます。

記録と写真は端末の中だけに保存され、サーバーへは送信されません(→ 6章「保存される場所」)。

注意アプリ自体にはパスコードや Face ID によるロックはありません。端末を操作できる人は、記録を見ることができます。端末側のロックを設定してお使いください。

不具合の報告・ご要望は、App Store のサポートページからご連絡ください。

利用規約は Web に掲載しています(https://anicolors.jp/terms/)。購入画面の Terms of use からも開けます。

お問い合わせ

サポートページをご覧ください。 AnesRecord のよくあるご質問は こちらです。